Story
1 U at Nebukawa
南西には険しい箱根連山、東には穏やかな曽我丘陵と、南東には相模湾。恵まれた自然環境のつくりだす景色はもちろんのこと、一年を通して暖かく、梅やみかんなどの果樹をはじめとした農作物と、黒潮に育まれた豊かな海産物が獲れること。そして、厳しい山越えとなる箱根の山々の先にあることから、古くは関東の守りの要として、東海道屈指の宿場町として栄えてきました。多くの人が行き交う交流地点であり、穏やかな気候と豊かな食があり、日常と少し離れた日々を過ごす場所としての小田原は、近代では山縣有朋や大隈重信といった財政界人や、北原白秋、谷崎潤一郎といった文豪たちの保養の地としても有名です。
ワーケーション施設であるUは、そんな小田原の中心地から電車で15分ほどの根府川にあります。
1953年に建てられた木造の建物は、もともと片浦村役場として建てられ、その後小田原市役所の支所として使われていました。真っ青に広がる相模湾の水平線と空を臨むその建物は、2019年にその役目を終えるまでの64年の間、地元の人々に大切に使われてきました。長く根府川のシンボルだった建物は、2022年にワーケーション施設として生まれ変わることになりました。
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2U = {Universal set, ∪}
Uという名前とロゴは、数学の「集合」という考え方からとりました。集合とは、いくつかの“もの(要素)”が集まっていること。Uとは、いくつもある“もの”全体、つまり「全体集合」を表す英単語Universal Set の頭文字であり、小さな集合同士を足し合わせる数学記号「∪」を表したものです。
私たちの人生は、たくさんの要素からできている大きな集合なのだと思います。その集合は、普段は「仕事」や「生活」「遊び」、「公」や「私」の小さな集合に分けられています。そして時々私たちは、無意識のうちに小さな集合の見えない枠に囚われてしまって自分自身がとても小さく思えて落ち込んだり、無力感を感じたり。
けれど本当は、一つ一つの集合がひとまとまりになるまで引いて考えると意外な組み合わせの中から解決策を思いついたりワクワクするようなアイディアやインスピレーションがわいたり。良いね、と思える自分に出会えるのではないでしょうか。
「仕事」や「生活」「遊び」、「公」や「私」。ばらけてしまっていた小さな集合を足し合わせて、もう一度大きな集合(自分)に戻れる場所。そして、いろんな大きな集合が集まって、さらに大きな集合になれる場所。たくさんの「良い」ものが集合し、新しく自分に取り入れられる場所。
小さな要素からはあり得なかった、気付きに気づく。Uは、そんな場所です。
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3Work-cation
ワーケーション(Work-cation)という言葉もすっかり日本になじみ、よく聞かれるようになりました。
あなたにとって、ワーケーションとは何でしょうか?仕事の合間に、ふらっと自然の中へ出かけたりして、自由に過ごすこと。釣りや山歩き、レジャーの合間に少し仕事をして、自由に過ごすこと。普段とは違う環境で、じっくり物事に向き合う時間をとること。新しいインスピレーションや出会いに巡り合うこと。
たくさんの過ごし方があり「どれが正解」というものはないのだと思いますが私たちはワーケーションに大切な条件が一つだけ、存在すると考えています。
それは、「自分自身で時間の使い方を決めて、“自由”に過ごすことができる」こと。
Uは、そんなそれぞれに合ったワーケーションを過ごせるように作りました。
リフレッシュしたいとき。遊びたいとき。集中したいとき。その時その時必要な過ごし方で、楽しんでください。
箱根連山
箱根町を中心に、神奈川県と静岡県にまたがる火山の総称のこと。箱根温泉など、温泉郷として有名。険しい山だが、ロマンスカーなどの鉄道交通が発達しているので、多くの観光客でにぎわう。
曽我丘陵
JR御殿場線の上大井駅から10㎞ほどのハイキングコースが整備されている。200mほどの山々が連なり、遠くのほうに富士山や相模湾も見える。おすすめは梅林が見ごろを迎える2月ごろ。
相模湾
黒潮が流れ込み、温暖な気候の要因でもある。海底の地形が変化に富み、遠浅~深海にいたるので、多種多様な生き物が生息する。なんとジンベエザメやマッコウクジラなどが観察できることもある。
海産物
国府津~根府川にかけては昔からカツオ、アジ、アワビやブリ、そしてイカなどの漁業が盛んな地域。カツオのたたきやイカの塩辛、かまぼこなどの小田原名物が生まれ、今でも全国の食卓で親しまれている。
宿場町
宿場とはもともと公的な荷物や手紙などの通信物を、次の宿場まで送り届ける街道の拠点となった場所のこと。今でいう配送センターの周りに職員向けの宿屋や食事処が発達し、徐々に交通量や取り扱う商品の種類が増えたことで大きくなった。
山縣有朋(元内閣総理大臣)
明治40年、70歳のころに構えた別荘であり、他に所有していた目白椿山荘、京都無鄰菴とともに近代日本庭園の傑作と呼ばれています。相模湾と箱根山を借景に造られた庭園は、毎週日曜日に解放されているため見学可能。
大隈重信(元内閣総理大臣)
国府津・前川の水平線から登る朝日を好んだという大隈は、国府津の高台に約3,000坪もの別荘を構えていたという。昭和40年に別荘地は解体され分譲されてしまったため、残念ながら今では見ることができない。
北原白秋(詩人)
初めて自宅を持ったのが小田原だといわれている。33歳で移り住み、東京へ移住する8年間、小田原の風物を織り込んだ作品を数多く作った。代表作として有名な「雨」や「赤い鳥小鳥」もこのころの作品であり、生涯に作った1,200編の同様のうち約半数が小田原時代と言われている。
谷崎潤一郎(小説家)
文壇で有名になったころの旅館住まいでは、小田原市の早川にいたことも。その後結婚で新居を東京に構えることもあったが、友人である白秋の手伝いもあって妻とともに小田原に移り住む。ここで、同じく文豪で友人だった佐藤春夫と絶交するに至った、かの有名な「小田原事件」が起こることになる。
小田原市役所の支所
1954年小田原市に片浦村が合併された際、それまで村役場として使われていた建物がそのまま引き継がれることになった。合併される前年に完成したばかりの建物で、片浦村制40周年の記念事業として当時村の中心地となっていた根府川に建てられることになった経緯が記録されている。
根府川
漁業や蜜柑やレモンなどの柑橘農家で栄えた。少子化などで漁師・農家の数は減ったものの、今でも沖に出る船が漁をする様子が見え、山間にはきれいな柑橘畑が広がる景色は健在。関所跡や土塁など歴史的な史跡もひっそりと残っており、のんびりと散歩を楽しみたくなる。
要素
特定の条件を満たす、こと、もの。
U
「A∪B」は「AカップB」、「AまたはB」と読み、Aという集合とBという集合を足し合わせている。
仕事
誰かに認められていること、価値を発揮していること。誰か/何かの役に立っていること、スキルアップしたいこと。生きていくための糧を得ること。何かを”生み出す”生産活動。
生活
暮らしていくこと。朝起きる時間、夜寝る時間。毎日のルーティン。両親や兄弟/姉妹、パートナーとの会話。親しい友人との付き合い。
遊び
心の赴くままにすること。趣味、好きなこと、得意なこと。長くやっていること、夢中になれること。
公
表に出している、公式の自分。仕事での付き合い方、オフィスの中、上司や同僚から見た印象。
私
親しい人に見せる、または自分だけが知っている自分。得意なこと、好きなこと、苦手なこと。好きな味、苦手な味。ついやってしまう癖、笑いのツボ。
「問題:3×3にドットが並んでいるとき、一筆書きの4本の直線をすべての点を通るように書いてください。」見えない枠に囚われる”枠内思考”の状態だと、解けない問題。たぶん様々な状況の中でこの問題と同じように無意識に作り出した「枠」の中で考えてしまうけれど、フラットに眺めてみると、意外と簡単に解けることもある。
Work-cation
日本では「Worcation」「Workation」と表記することも。実は最近できた考え方ではなく、2010年ごろにはすでに欧米を中心に広がっていた考え方で、生産性や心の健康を高めることを目的としている。今までの休み方、働き方の枠を超えた、新しい「生活」のスタイルともいえる。
釣り
考え抜いた仕掛けで釣り糸を垂らし、狙いの魚を釣り上げる楽しみも、ただ運に任せて釣り上げる楽しみもある。そして釣り上げた後は、もちろんおいしく食べる楽しみも。
山歩き
歴史の跡をたどりながら歩いたり、特に目的はないまま自然の中の小さな変化を見つけながら歩いたり。